「地権者トラブルで家族にまで被害が被ったら嫌だな・・・」
「地権者が多いマンションって管理組合が大変なの・・・?」
「地権者の輪ができていて、その中に入れなかったらどうしよう・・・」
地権者の多いマンション、タワーマンションにこれから住もうとしている人は、このような漠然とした不安や悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
こんにちは。
元業界人で不動産売買専門員を行っていた大塚茂住(おおつかしげすみ)です。
「住んでみたいタワーマンションで地権者トラブルに巻き込まれたらどうしよう・・・」となんとなく不安な気持ちに苛(さいな)まれ、購入したいマンションなのだけど、今一歩足が前に進まないという人もいるのではないでしょうか。
なんとなく不安な気持ち・・・。
今回は、元業界人の大塚茂住が地権者トラブルでよくある事例を紹介していきます。
この記事を読み終えるころには、地権者トラブルでよくある事例がわかるので、あなたの悩んでいるマンション購入をしても大丈夫なのか、それとも今回は見送ったほうがいいのか、判断できるようになるはずです。
それでは、まいりましょう。
地権者とは?
そもそも、地権者とはいったいなんなのでしょうか?
地権者とは、マンションが建つ前に元々土地を所有していた地主のことです。
借地人、借家人、などともいう場合があります。
マンションを建てるための土地を確保するために、まずはじめに地権者の利害を調整していきます。
調整すべき地権者は、一人の場合もありますが、多くのケースで複数人との交渉になることが多いです。
この地権者の利害調整、とてつもない労力と根気を使う仕事になります。
そのひとつが「地上げ」と呼ばれる作業です。
地上げで地権者を説得してもらう
地上げとは、集合住宅街の土地をマルっと買取るときに行う作業で、1軒、1軒、回って説得してもらう、つまりは口説き落とすわけです。
そして、買取った後は上物の解体、買取主の明記、と迅速かつ円滑に進んでいきます。
ただし、買取話に最後まで耳を傾けない家もあるわけです。
これはちょうど、成田空港の敷地内に立ち退かない家があるのと一緒。
立ち退かない家には、家なりの理由があって、「先祖代々の土地だから・・・」、「支払われる金銭に納得できない・・・」、など手放せない理由があるわけです。
そして、いくら交渉を続けても、解決の糸口はみつからない・・・。
だけど、工事納期は決まっている・・・。
となると、立ち退かない家を除いた変形地で工事が着工するのです。
再開発組合の設立が一般的
地上げをしてもなかなか立ち退かない家は、やはり出てきます。
そんな地権者トラブルを解決するために、以前は裏世界の人間が動いて強制立ち退きを実行することもありました。
たとえば、
- 強面お兄ちゃんで脅迫する
- 事故に見せかけてトラックを突っ込ませる
- 膨大な立退料を要求する占有屋の使用
こんな行為がまかり通っていた時代のエピソードです。
現在では、ウマ味がなくなったのか、裏世界の人は登場しなくなりました。
現在は、「再開発組合」を設立して地権者同士が土地をひとつにまとめあげてもらって、より高値での買取が成立するよう交渉するのが一般的です。
「え!?なんでそんな面倒なことを地権者がやるの?」と思うかもしれませんね。
だけど、30坪の土地だけでは大した価値にならないけど、地権者50人をまとめた1500坪の土地にはとてつもなく大きな価値と輝きが出始めるんです。
こうして、デベロッパーと地権者とのメリットに折り合いをつけて土地の引き渡し合意へと達します。
単純に土地を買取る形にはほぼならない
再開発組合との折り合いがついても、一人一人の地権者との折り合いはこれからつけていきます。
というのも、地権者のニーズがそれぞれで違うからです。
- 金銭を渡してもらえばいい人
- 店舗を渡す代わりに、別の場所により良い店舗を作ってほしい人
- 完成したマンションの賃貸住宅を複数欲しい人
- 好条件で完成したマンションに住ませてほしい人
基本的には、どのような地権者からのニーズにも対応はできますが、それがデベロッパーの資金的に利害が成立すればの話になります。
ということで、地権者の数が少なければ、より早くマンションは完成し、後々の地権者トラブルも少なくて済みます。
ですが、地権者の数が多ければ多いほど、合意に至るまでの時間がかかり、後々の地権者トラブルも起きやすくなるのです。
結果的には地権者には地権者住戸が配分される
じつは、完成したマンションの総戸数の10%から20%は非分譲となります。
これからマンションを購入しようとする人がマンションの部屋番号と価格表を見てみると、「地権者住戸」と表記のある部分です。
この地権者住戸が地権者に配分された部屋になります。
等価交換によるマンションでの旧地権者とのトラブル
等価交換とは、地権者とデベロッパーの間で行われる取引のことです。
地権者が所有していた土地や敷地をデベロッパーに引き渡すことでマンションが建設されます。
マンション建設前に地権者が所有していた土地や敷地の価値に似合った見返りとして住戸や駐車場に交換することを等価交換というのです。
この等価交換、建物の独立した区分(住居や店舗、事務所など)を所有する区分所有者として地権者が多くの区分を所有するケースが多いのですが、他の居住者とのトラブルになることも・・・!
いったい、どういったトラブルなのでしょうか。
一番気になるのが、地権者と居住者とのトラブルですよね。
そこで、次に地権者と他の居住者とのよくあるトラブルに焦点を当てていきます。
管理組合内での地権者と他の居住者とのトラブル
管理組合内での地権者と他の居住者とでよくトラブルには以下の2つが挙げられます。
- 駐車場のトラブル
- 総会での議決権が地権者有利に傾く
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
その1.駐車場のトラブル
地権者は、管理規約上の特約として、駐車場を所有することができます。
マンションの駐車場は、一般的に共有部分として判断されますから、すべての駐車場が同等の条件となります。
しかし、地権者の所有物である一部の駐車場は、地権者のさじ加減で売買にでも賃貸にでもできます。
要するに、共有部分であるはずの駐車場に不公平感が発生してしまうのです。
たとえば、地権者所有の駐車場が売買された場合、他の住居者は賃貸扱いのため、最悪のケース、「うちの駐車場も売ってくれ!」と地権者とのトラブルに発生することにも・・・!
ただ、この駐車場トラブルを解消するためには裁判や法改正などにも限界があるのが実情なのです。
その2.総会での議決権が地権者有利に傾く
マンションの管理組合の総会では議決権が地権者に有利に傾きがちです。
地権者に有利に傾くことで地権者の考え方によって規約変更などをめぐるトラブルが発生する可能性もあるのです。
ただし、地権者に有利に傾くのは、戸数を過半数以上持っているケースになります。
戸数を過半数以上持っているケースはそう多くあるわけではないのですが、地権者の方は広い心で居住者と向き合う思考ももってほしいところです・・・。
まとめ
いかがでしたか?
地権者トラブルでよくある事例には以下の2つがありました。
- 等価交換によるマンションでの旧地権者とのトラブル
- 管理組合内での地権者と他の居住者とのトラブル
さらに、「管理組合内での地権者と他の居住者とのトラブル」には以下の2つを具体的に紹介しました。
- 駐車場のトラブル
- 総会での議決権が地権者有利に傾く
これらの地権者トラブルを把握しておけば、あなたのマンションでの生活姿勢もなんとなくイメージがつきやすくなったのではないでしょうか。
そして、あなたが今、イメージした生活姿勢が「自分や家族には向いていない」と少しでも感じたのなら、今回のマンション購入は見送ったほうがいいでしょう。
逆に、イメージした生活姿勢が「今よりも楽しく過ごせそう」と思えたのなら、そのマンションの購入を前向きに考えてもいいのではないでしょうか。
特に中古マンションを購入した場合に地権者住戸が売りに出ているケースも少なくありません。
そんな地権者住戸の賢い買い方は、「購入した部屋をいざ売却するとなったとき、どう売るのか」というところまで考えておくことです。
以下の記事では、地権者住戸の売却のコツをまとめています。
興味のある方はぜひ参考にしてみてくださいね!
>>地権者住戸を売却するコツ